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川村 英之; 古野 朗子; 小林 卓也; 印 貞治*; 中山 智治*; 石川 洋一*; 宮澤 康正*; 碓氷 典久*
no journal, ,
福島第一原子力発電所から海洋へ放出されたCsの海洋拡散シミュレーションはこれまで数多く行われてきたが、シミュレーションには放出量や海況データ等に起因する誤差が含まれている。本研究では、5種類の海況データを入力データとした海洋拡散シミュレーションを実施することで、海況データの相違によるCsの海洋中移行への影響を解析し、福島県沿岸から北太平洋広域までのCsの海洋中移行を明らかにすることを目的としている。水平解像度が低いシミュレーションと比較して、高解像度シミュレーションは福島県の海岸線と沖合で観測されたCs濃度を良好に再現しており、事故から数か月間は海洋へ直接放出されたCsが福島県沿岸を主に南北方向に拡散したことが示唆された。北太平洋西部や北太平洋全域を対象としたシミュレーションは、比較的解像度が低いがデータ同化手法により主な海流の変動を良好に再現しており、Csが沿岸から外洋へ輸送される過程で黒潮続流が大きな役割を担っていたことが示唆された。また、Csは事故直後は主に混合層に存在していたが、1年後には混合層以深にも輸送されたことが定量的に示された。